虎の子一枚。
いまいち意味はわからないけど、大事なモノ1つもって逃げる、という意味として生きてきた。
考えてみると、いつも虎の子一枚はちゃんともって生き延びたと思う。逆にすべて差し出していたら、と思う。
小学生時代。
親に勉強をしろとしょうもない塾に入れられた。
虎の子として野球だけ持って逃げた。
中学生では虎の子のはずだった野球(部)がなく、全部持って行かれた。
ここでもすんでの所で中途半端ながら野球を隠し持っていた。
学生時代はブラックな労働力としてこれまたすべて持って行かれたが、虎の子でゼミに入っていた。全部は守り切れなかったが、とにかく虎の子がいた。
大人になってからもキャッシュカードと預金通帳だけは手放さず、それを虎の子にした。
結局なにが虎の子になるのかは逃げ出すときにならないとわからない。
本当に大切なモノは逃げ出すときにならないとわからない。
それを「虎の子」と呼ぶことだけがわかっている。